誰かに聞いた怖い話
・・・保健室17
.
『!?』
その言葉を聞いた彼女は、歩み始めた足を止めました
そして凍り付いた様に、その場に立ちすくんでいたのです
…今のは何?
…何なの?
目の前の扉を真直ぐ見つめながら、彼女は耳をそばだて背後の様子を探ろうとしました
けれども、カーテン越しの声はそれっきりで…
体育の授業の無い午後の授業中は、普段でも静かな此の小学校ですが、授業を終え校庭で遊ぶ低学年の児童の姿も今日は全く見えず、保健室の中はいつにも増して静まり返っていたのです
どの位の時間、そうやって彼女は立ち尽くしていたのでしょうか
その時間が長いのか、それとも短いのか…彼女自身も良く分からずに、彼女は後ろを振り向き、恐る恐るベットに近付いたのです
一歩…又、一歩と…
そして彼女は開けたのです
奥のベットの仕切りの為に引いてある、少し日焼けをして黄ばんだベージュ色のカーテンを…
居ませんでした
そこに寝て居る筈の少女の姿は…何処にも見当たらなかったのです
奥のベットの上には、まるで中の少女の身体だけが消え失せた様に、少女の身体の形をかたどった毛布が、一枚残されていただけでした
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