誰かに聞いた怖い話
・・・続いた凶事12
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『彼女の留守中に誰かが部屋の中に侵入しているのではと、従姉妹の身を案じた彼が彼女と相談の上で、部屋の中にビデオカメラを仕掛けて置いたんだよ…』

『私も一度見せて貰ったんだが…そのビデオカメラの映像には、とんでもないモノが映っていたんだ』



『?』

『…』



『その当時のビデオは今のよりも大きく、バッテリーの性能も劣っていて録画時間も短かったから、その映像は少ししか…テープが終わるほんの少し前の短い時間しか映ってはいなかったんだが、そこには膝に赤い猫を乗せた一人の老婆が映っていたんだよ』

『その老婆は…いつの間にかそこに居たと云う様な感じで不意に画面に現れたんだ、首をうつ向き加減に垂れて膝の上の赤い猫を愛しそうに抱き、ただジッと見つめている…そんな感じだった』

『私はその映像を観た瞬間、自分の身体が震え出すのを抑える事が出来なかった…』

そう言ったおじさんの身体は、俺には少し震えている様に見えたんだ



『私にはその老婆が、伯父の酷い仕打を恨んで自ら命を絶った、あの老婆に思えたんだ…』

『そして老婆の膝に抱かれた赤い猫とは…皮を剥がれた老婆の飼い猫の姿だったと、私はそう思ったんだよ』

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