誰かに聞いた怖い話
・・・続いた凶事2
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『待たせたね…やっと落ち着いたよ』

『気丈そうに見えただろうが、妻はあの娘が事故で亡くなってから、殆んど寝ていなかったんだ』

『無理も無い…年老いた私達を残して、先に逝ったあの娘の姉ばかりか…あの娘迄、先に逝ってしまうなんて…』

『この歳になって、こんな思いをする事になるなんて…本当に思ってもみなかったよ』

俺には、おばさんよりも…どちらかと云うとおじさんの方が、酷く疲れている様に感じられて心配だったんだ



『それでは、続きを話そうか…』

ミーコの父親は、すっかり温くなった湯呑に口をつけると、ゆっくりと乾いた喉に流し込んでいった

俺は、コクコクと動くおじさんの喉元を、じっと見つめながら考えていたんだ

愛する身内を亡くすのって、どんな気持ちなんだろう…

昨日迄、そこに居るのが当たり前と思っていた人が、今日はもう何処にも見つけられなくなってしまうのって、どんな感じなんだろう…

俺にはわからなかった…

わかる筈がなかったんだ…

その場に居た者の中で、一番大事なモノを無くしていないのは、俺だけだったんだから…



『その凄まじい現場を最初に見つけたのは、町の民生委員の方だったそうだ…』

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あきゅろす。
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