誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉13
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『なぁ…何でそう思うんだ?』

そう尋ねたのは、サーファーの彼でした

焚き火の炎の揺らめきに照らし出された彼は、手にしたマグカップを丸く円を描く様に回しながら尋ねたのです



『うん、実はその遺体の顔が埋葬前と物凄い程変わっていたって、さっき僕が言ったと思うけど…他にも幾つか証拠になる物が有ったそうなんだ』



『証拠?』

私は尋ねたのです



『うん、先ずはその遺体の首筋に掻き毟った様な傷跡が…そう多分徐々に薄くなる酸素を求める内に、自分自身で掻き毟ったんだと思う…その証拠に彼の両手の指先は、真っ黒に変色していたんだ…』



『真っ黒?真っ赤の間違いじゃ無いのか?』

そう尋ねたのは、車好きな彼でした



『いや…勿論当初は、傷跡から滲み出す血で真っ赤だったと思う』

『だけど、埋葬からは時間が経っていたから、黒く変色したんじゃないかな』

『そしてもう一つ…こちらが重要な証拠なんだけど…棺桶の蓋を必死に開け様としたのか、埋葬時は傷一つ無かった遺体の指先から爪が何本も剥がれ落ちていたんだ…それを証明するのが、棺桶の蓋に残された引っ掻き傷と黒い無数の線だった…』

『彼は生きて居たんだよ』

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あきゅろす。
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