誰かに聞いた怖い話
・・・歌詞の秘密3
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彼の話は悲惨な話でした
国中が飢饉に度々見舞われたその当時、現代の様に他の国の支援を期待する事も出来ず、ましてや食糧を輸入する事など考えられなかったそんな時代…貧しい山間の農村では口減らしの為に、鍬や鋤を持つ事が叶わなくなった老人を山に送り…
どの様な未来を持って生まれたのかも分からぬ嬰児を、人知れず始末し…
今でこそ自由を愛する国の様に言われている此の国も、ほんの僅かな刻の前には、こんな暗黒な時代もあったのです
そしてそれは農村に限られた事では無く、各藩の主な町々や将軍家のお膝元である江戸についても言える事で、此の歌の元になる出来事が密かに行われたらしいのです
そしてそれは言葉を変えて、此の歌詞の中に歌い込められているのでした
『……と言う訳でね、どうだいそう考えて聞いてみると…皆もそう思うだろう?』
その言葉で旅行好きの彼は、皆の同意を求めたのです
『そう言われてみればそうだよな…庶民の信仰を集める神社が、門番なんかをおいておく必要は無いよな』
そしてサーファーの彼が頷いたのです
『あの言葉には、そんな意味があったんだ…知らなかったよ』
それは私も同じでした
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