誰かに聞いた怖い話
・・・保健室11
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その日のその子の様子は、いつもとは少し異なるものでした
いつもは痛いと言いながらも、その顔に笑みさえ浮かべる余裕すらあったのです
皆が好き嫌いばっかり言うから、又、今日も食べ過ぎちゃった…と、いつもその子は食べ過ぎて苦しそうに顔をしかめながらも、食べ物を粗末にしなかった事を、誇らしげな顔をして話していたのです
そして、その当時の養護教諭の方は、決まってこう言ったそうです
『そう!食べ物を粗末にするのはいけない事だから、良い事をしたわね…でもね、食べ過ぎてお腹を壊すのは、もっとイケない事よ…皆にも心配掛けるでしょう』
するとその子は、はにかむ様に顔を赤らめ…分かりましたと返事を返していたそうです
けれども、その日はいつもよりも真っ青な顔色をして、額には粒の様な汗をかき保健室の扉を潜ったのです
その子の運命だったのでしょうか?
生憎とその日の午後に養護教諭は、高学年の女子児童対象の保健の授業を頼まれていたのでした
此の年頃の女の子の中には、早い者では既に初潮を済ませている児童もいて、むくつけき男性教諭の授業では問題
がある場合も、少なからずあったのです
その事が、先ず第一の不幸でした
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