誰かに聞いた怖い話
・・・保健室12
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当時の養護教諭はその為に、高学年の女子児童の一部を集めた、別棟の理科教室に向おうとしていた所だったのです

彼女はそんな気忙しさの中、その子の病状がいつもとは少し違う事に気付きませんでした

その為、水にお湯を加えた物でいつもの胃腸薬をその子に飲ませると、いつもの様にベットで少し横になって休む様に指示を与えて、時間に追われる様に保健室を後にしたのです



その養護教諭を責める事は…誰にも出来ない事なのかも知れません

それは無理からぬ事なのです

養護教諭は、医師の資格を持ったお医者様では無いのですから…

そして、その子にとって更に不運だった事は、保健の授業を終えた養護教諭が来週校内で行われる予防接種の準備と打ち合わせの為に、非常勤の校医の開業している診療所に出掛けてしまった事でした



その時…授業を終えた養護教諭が保健室に戻って来た時、その子の姿は既に保健室にはありませんでした

いつもその子が横になる奥のベットが少々乱れているだけで、その子の姿はベットの上には見当たらなかったのです

けれども、彼女がもう少し…そう、あと一歩ベットに近付いていたならば、その子が死ぬ事は無かったのかも知れません

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