誰かに聞いた怖い話
・・・保健室8
.
あの時の校長先生の口振りでは、何か変な事が必ず起きると言っている様なものでした
私を呼んで業々言うからには、私の行動範囲内で何かが起きる…そう考えない方がおかしいでしょう
そして…私の行動範囲内と言えば…それは限られた場所だったのです
『?』
…おかしいな…私が此の部屋に入って来た時には、ベットの仕切りのカーテンは開いていた筈なんだけど…
先程の事を頭から振り払う様に机から立ち上がった私は、その事に気付きました
けれども、その時は私の単なる勘違いだろう…その程度に考えていたのです
そして私は、鍵の掛かった薬棚の中にある薬品と、前任者の残した棚卸表の検品に忙殺され、その事はすっかり忘れてしまいました
『此の学校は…本当に暇ね』
不謹慎な言い方かも知れませんが、今時の学校では保健室通学が不思議ではありません
けれども、此の小学校には、保健室に逃げ込んで来る児童はいなかったのです
いいえ…そればかりではありませんでした
此の学校には、保健室に来る児童が殆どいなかったのです
勿論、具合の悪くなった児童が来ないからと言って、私の仕事が無い訳ではありません…色々とあるのです
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