誰かに聞いた怖い話
・・・保健室９
.
私達の日常の仕事は、児童の使う水道水や室内外の空気の検査など多岐に渡り、保健室で一日中お茶を啜っている訳では決して無いのです
勿論、私達が学校で行なう検査は簡易なもので、必要ならば然るべき所で検査をして貰う為に届けるのでした
ですから…成るべく私は保健室に居る様にはしておりましたが、何しろ私一人しか居りませんので…児童が保健室に来た時に、席を外している時もたまにはあるのです
それに私達は、普段は授業を受け持たない決まりですが、ある一定の条件付きで保健の授業を頼まれる事もありました
あの痛ましい事故が起こったのは、そんな時だったと言います
それは私が此の小学校に赴任する、遥か以前の事でした
その当時は、近頃心配されている少子化とは全く無縁な、バブル景気全盛の華やか成りし頃で、今でこそ使われていない教室が目立つ此の学校も、その当時は教室が狭く感じられる程一杯の児童で溢れていたのです
その為、児童一人一人に対する目配りが、残念ながら疎かになってしまったのでした
その日その子は、いつもの様に保健室にやって来たのです
もっとも…その男の子が、普段から病気がちだった訳ではありません
［前頁へ］［次頁へ］
[戻る]
[小説ﾅﾋﾞ|小説大賞]
無料HPエムペ！
誰かに聞いた怖い話