誰かに聞いた怖い話
55話…続いた凶事
.
『違う?』
『問題なのは、猫そのものの祟りと言うよりも…その猫の飼い主に起こった出来事の方なんだよ…きっと』
『おじさん、良く話がわからないんですが…』
『自殺してしまったんだよ』
『えっ?』
『その飼い主が…自殺してしまったんだよ』
『伯父が殺して三味線の皮にした猫は、飼い主のお婆さんにとっては大事な…とても大切な家族だったんだ』
『でも、猫は猫でしょ…大袈裟じゃないですか?』
『君には、まだわからないだろうな…自分の大切なモノを亡くす悲しみが…』
『あっ…すみません…』
いつの間にか、目頭にハンカチをあてているおばさんに気付き、俺はしまったと思ったのだが…後の祭りだったんだ
『母さん、今日は疲れただろう…先にお休み…』
そう言っておじさんは、涙ぐむおばさんを奥の部屋へと連れていったのだった
『おい…そうするとミーコは…その婆さんに殺されたって言うのか?』
『そんな事…俺にはわかんないよ…でも…でもミーコは、姉ちゃんの周りをうろつく猫を見たって…そう言ったんだろ』
『うん、ミーコが見たのは間違い無く、化け猫だったと思うんだ』
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