誰かに聞いた怖い話
・・・ミーコ13
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『それじゃあ君達は、三味線に使われている皮が、何の皮だか知ってるかね?』



『確か…蛇とか…』

『猫!』



『そうなんだ…今は人工的な合成皮革なんかも使われているらしいが、その当時は勿論そんな物は無かったし、本物とはやっぱり音が違うんだ』

『本物の蛇皮や、生きの良い猫の皮を剥いで作った三味線が、良い音色を奏でると…喜ばれていたんだよ』



『それじゃあ、ミーコの大伯父さんが猫を殺して、その祟りでミーコが…そう云う事ですか?』



『それも有るかも知れないとは思うが…普段伯父は、専門の業者から仕入れた皮で三味線を作っていたし…供養塚も造って、毎年お坊さんに供養をして貰っていたんだよ…』



『それじゃあ、何故ミーコが…』



『伯父が…私の伯父が禁忌を破ってしまったんだよ』



『きんき?』



『そう…禁忌を破ってしまったんだ』



『…』

俺は、先程から言葉を忘れた様に無口になっている彼奴の顔を、そっと覗き込んだのだが…彼奴が今、何を思っているのかは、その表情からは伺い知る事は出来なかった



『私の実家では、隣近所との揉め事を避ける為に、決して自分では素材を集めなかった』

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あきゅろす。
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