誰かに聞いた怖い話
・・・古都22
.
『じゃが、討たれた一族の祟りなのか、因果応報と言うのかの…この一族の主だった者達が次々と変死を遂げての…挙げ句の果てには、この一族も謀反の罪で攻め滅ぼされる事になったんじゃよ』
『…』
『まぁ世の中、良い事をすれば良い事が、悪い事をすれば禍が…そう云う事じゃな』
住職はそう言いながら、綺麗に剃りあげられた頭をつるりと撫でると、にっこりと笑った
『…』
『そうじゃそうじゃ、この寺に伝わる話があるんじゃが、この先の切り通しで討たれた武士の子供には、双子の弟がおったそうじゃ』
『!』
『じゃが…昔は双子は忌み嫌われてのう、赤児の内に密かに養子に出されていたそうじゃ』
『それは本当の事なんですか?』
『さぁてのう…昔は代々の寺の住職に伝わる古文書があったそうじゃが、二度にわたった大津波のせいで失われたそうじゃよ』
『…』
『そろそろ読経の時間じゃな、ゆっくりして行きなされ』
住職はそう言うと、本堂の方へと戻っていった
『…』
(僕の先祖が、騙し討ちに関係していたのでは無いのか?)
僕は予想を裏切る展開に、住職に返事を返す事も出来なかったのだ
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!