誰かに聞いた怖い話
・・・秘伝20

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『おいおい、それじゃあ、店に来ていたお客にも…それを食べさせていたのか?』

走り屋の彼が、呆れた様子で呟いた



『うん…叔父の話だと…ね』

その呟きに、病院長の息子が、やりきれないと言った表情で答えたのだった



『うわっ…当分の間、食べる時に思い出しそうだぜ…出汁に何を使ってるのか…俺達にはわからないからな』



『確かにね、今ですら材料表示の中身が信用出来ないって時代なのに、戦後のごたごたした時期なんかには、他にも色々あったみたいだよね…同じ様な事件が…』

私はサーファーの彼の言葉に、自然と賛意を示していた



『ところでさ…その料理屋の親爺は、その後はどうなったんだい』

それまで黙っていた旅行好きの彼が、ポツリと呟いた一言は、その場に居た皆の共通の関心事でもある



『それがね…叔父の記憶が曖昧だったんで、後で僕なりに少し調べてみたんだけど…金貸しに対する事件についてだけ、有罪になって…』

『最初の男については、無罪になったそうだよ…証拠不充分で』



『証拠不充分?』



『何も残っていなかったから…』



『それじゃあ…もしかして…』



『うん、既に刑務所から…』

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