誰かに聞いた怖い話
・・・現れたモノ達8
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『ううん…な、何でも…ない』
私はそう言いながら、必死に恐怖を抑え込み、そっと辺りの様子を窺っていたのでした…
私は部長と一緒に新入生に戯れ付きながら、さっき顧問の先生に教えて貰った話の事を考えていました
その話とは…この娘が…この新入生の娘が、あの部屋に戻った時に体験した事です
私は…私達が夕食から戻る時に、この娘が慌てて離れを飛び出して来た所迄しか事情を知りませんでした
あの後直ぐここにいる二人の先輩達に、泣いているこの娘の事をお任せしていたからです
ですから…この娘があの離れの部屋で体験した事は、ここに居る私達だけが知っています
私達以外の部員は知りません
いいえ…知る必要はありません…知らない方が良いのです……少なくとも今晩の所は…
私は嘘をつきました…いいえ、嘘をついたと言うよりも、必要最小限の事しか話しませんでした
あの離れの部屋で…あのクローゼットの所で起きた事を…その前に見たモノを…私は詳しくは話しませんでした
『ひゃん!どこ触ってんのよ、エッチ!』
私が先輩達と戯れ合っていた時、急に部長が少し高い声を張り上げ、私達を軽く睨みつけたのでした…
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