誰かに聞いた怖い話
・・・身近な恐怖(伍)9
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案の定僕の予想通り、バイクを走らせはじめて直ぐに、ヘルメットのシールドにひとつ…又ひとつと、雨の滴が作る水玉模様が広がり始めました

バイクは既に修理されており、エンジンの吹け上がりも良くなっていましたが、段々激しくなる雨に視界は狭められ、スピードを自転車並に落とさなければなりませんでした…

雨の降る日のバイクは嫌なものです、それが夜なら尚更です…





僕とバイクが峠を登りきり、目当ての場所に近付いた時でした

何か白い霧の様なモノが、ふわりと前方を照らすヘッドライトの明かりに浮かび上がりました…

でも…それはほんの一瞬の事で、視界の悪い今の状態ではそれが何だったのか…僕には判断が出来ませんでした





『はぁ……びっしょりだ…』

雨の降る中に置き去りにされた紙袋は、水を吸い込んで重たくなり、中に入っていた古い携帯はぐっしょりと水に濡れて電源も入らず、使い物になりそうにはありませんでした

幸いだった事にCDと説明書類や付属品はビニールに入ったままだったので、ジャンパーの胸元から入れお腹で抱える様に運ぶ事にしましたが、最早使い物にならない携帯には用が無かったので、林道の奥に投げ捨てたのです

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あきゅろす。
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