誰かに聞いた怖い話
25話…身近な恐怖(伍)8
.
車は大きく揺れながら、道路上に走り出した

その一瞬だけ、ほんの瞬きするくらいの時間だけ、ドアミラーに白いモノが映った気がして…僕は助手席の窓越しに闇に目を凝らして見たのだけれども、そこには深まる闇しか見えなかった…

おかしいな…?そう思う僕の気持ちを無視して、車はエンジン音を高めながら直ぐ近くにある峠に向かって加速して行った





『しまったな、てっきり軽トラに載せたと思ったんだけど…』

僕が今日買ったばかりの携帯の説明書や、今日迄使っていた古い携帯電話の入った袋を、さっきの山道に忘れて来たのに気付いたのは、バイク屋に着きオーナーが軽トラから自転車を降ろしている時だった

荷台にはある筈の紙袋が載っていなかった

一度自転車の前籠から降ろして、中のCDを取り出して見た後、足元に置いた筈である…



『あっ、CDも入っていたんだった』

さっき迄の綺麗な星空が、まるで嘘のようにどんよりとした厚い曇に覆われていました…

僕は紙袋を取りに行くのを、明日の朝にしようかと一瞬考えたのですが、せっかく買ったCDも入っているし…何より今にも雨が降り出しそうな気配に、仕方なくバイクで取りに戻る事にしたのです

[前頁へ][次頁へ]

21/97ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!