誰かに聞いた怖い話
・・・中古車2
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そこには、小さな赤い自動車が展示されていました

小さいとは言っても、軽自動車ではなくヨーロッパでは往年の名車に数えられる小型車でした…

もっともその時には、私達にはその車の詳しい事はわかりませんでしたが…

後になって車の大好きな弟に聞いて知ったのです…





『良いなぁ…これ……でも、この値段じゃなぁ…どうしようかなぁ…』

彼女はその車をとても気に入ったとみえて、頻りに何かを考えているようでした





『お嬢さん、お車をお探しですか?』

その車の前で足を止めていた私達に、後ろから急に声を掛けてきた人がいました…

私達が振り返ると、そこには恰幅の良い1人のおじさんが、ニコニコ顔で立っていました…



『これ…可愛いですね』



『そうでしょう、この車は若い女性に大人気なんですよ』

『ほら!あの綺麗なタレントさん…う〜ん、名前何て言ったかな?、兎に角、芸能人の方にも大人気なんですよ』

『如何ですか?お乗りになってみますか?』

おじさんの上手い口上に、私達には帰る隙も与えられませんでした





バタン!

ドアを閉めキーを回すと、少し大きなエンジン音が響いたのを覚えています…

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あきゅろす。
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