誰かに聞いた怖い話
・・・目覚め3
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彼等は私の脇を通り過ぎる時も、一言も発せず黙々と歩み去るのです

そんな彼等の後を追おうとする私は、私の事を抱き抱える何者かによって阻まれ、私一人きりがこちら岸に取り残され…

私は大声を出して、彼等を呼び止め様とするのです



私の事を置いて行かないでと…



すると彼等は…私の足下を流れる小さな流れを渡り切った彼等は、私の方に向き直り私の事を寂しげに見つめるのです

そう…本当に寂しげに…



仲間のその姿に、私は有りっ丈の力を振り絞り、私を抱き留める何者かの両腕を振り払うと、小川に足を踏み入れるのですが…何故か私は、小川の中程で足を止めてしまうのでした

そう!何者かに足を掴まれ、小川の砂底に引き摺り込まれる様な感覚に、私は彼等に向かって駆け寄るどころか…ただの一歩も動けなくなってしまうのです



毎回小川の中程でうろうろしている私に、対岸に佇む彼等が口々に話す言葉が良く聞こえて来て…私は元居た場所へと、すごすごと引き返すしか有りませんでした



彼等は私に言うのです



お前は来てはイケないと…

此処はお前の来る所では無いと…



そして私は、私の名を呼ぶ誰かの声で眼を覚ますのでした

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あきゅろす。
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