誰かに聞いた怖い話
97話…目覚め
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私は夢を見ていた…
その夢の中で私は、闇の中を独り彷徨い歩いているのです
いいえ…それは歩みとは到底呼べないものでした
私はまるで赤児が這う様な、そんなゆっくりとしたスピードで動いていたのです
でも、それは仕方の無い事でした
真っ暗闇とは、きっとこう言う場所の事を言うのでしょうか?
私は前方に広がる闇の様子を、前へ伸ばした両手で確かめつつ、一歩ずつ歩んでいたのです
そんな時間が、どれ程続いた事でしょうか?
その永遠に続くかと思われた闇の世界に、私は小さな光を見付け、そちらに向かって歩み出すのです
一歩…又、一歩と…
その小さな光は、私の歩みに連れて段々大きくなり、やがてそれが何なのか私にも分かるのです
そこはまるで、舞台を照らし出すスポットライトの様に、明るく暖かそうな光が降り注ぎ、私の彷徨う暗闇の世界とは全く違う世界の様でした
私はその明るい場所に行きたかった
けれども、私とその場所は、或る物によって明確に分け隔てられていたのです
明るい世界へ歩み寄ろうと、一歩前に足を踏み出した私は、身を切られる様に冷たい水の感覚で、その歩みを止めたのでした
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