誰かに聞いた怖い話
・・・真相11
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…冷たい…の?
…それとも…温かいのかな?
…これは何?
…これは…
私には見えませんでした
何かが私の頬に触れている感覚を、私はうっすらと覚えています
けれどもそれは、感覚の殆どを無くした私が、微かに記憶していた感触…
その時私は、誰かに名前を呼ばれた様な気がして、閉じられた瞼を開け様としたのです
けれども、私は瞼を開く事が出来ませんでした
いいえ…本当は瞼は開かれていたのかも知れません
真っ暗な闇の中で…
そんな私の疑問は、暗闇の世界に突然差し込まれた光によって、晴らされたのでした
『そろそろ…行こうか』
私と友人達との会話の間、一言も話さなかった私の兄は、私に背中を向けたまま友人達に向かって話し掛けたのです
『そうですか…もう時間なんですね』
旅行好きな彼はそう寂しげに呟き、ゆっくりと立ち上がりました
そして他の友人達も彼につられて、いつの間にかその場に立ち上がっていたのです
そして彼等は、その場に立ち尽くす私の横を通り過ぎ、焚き火の明かりの届かない闇の中へと一人ずつ消えて行ったのでした
私に一言ずつ言葉を残して…
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