誰かに聞いた怖い話
・・・真相10
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サーファーの彼は、余りにも素っ気無くそう言ったのです
…私が…言わなかったから?
…確かに私は、自分の過去を…故郷での出来事を彼等に話そうとはしなかった…
…そんな話題に会話が及ぶと、私は口を濁らし語らなかった…
でも、いつしか私は…それを至極普通の事だと思っていたのです
友人ならば…より親しい間柄なれば、その人の全てを知りたいと、そう思うのも自然な事なのに…
『私が…言わなかったから!?』
けれどもその時、私の口から零れ落ちた言葉は、彼の言葉そのままの繰り返しだったのです
『友達だからと言って…いや、親友と呼ぶのに相応しい間柄だとしても…その人の全てを知る事も、知る権利も無いんじゃ無いかな?』
病院長の息子は、そう呟きました
そして更に続けたのです
『僕達には、ルールが有ったじゃないか…暗黙のルールがね…』
『そうさ、話したく無いなら言わない…当然無理には聞かない』
『そうそう…そして聞いたからには、全力でフォローするってね』車好きな彼に続いたのは、旅行好きな彼でした
その場には私を優しく見つめる八つの瞳と、無言の一つの背中があったのです
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