小説
籠の中で笑う鳥(イナイレ/基緑)
ナイチンゲールを捕まえた。
綺麗な奇麗な鳥だった。
籠に入れてしまっておいた。
朝になると死んでいた。
ヒロトは、読んでいた本をぱたりと音を立てて閉じた。
「馬鹿だなあ。
俺だったらもっと巧くやるのに。」
「ヒロト、どこ行ってたの?
俺、寂しかったよ。」
「ああ、ごめんね、緑川。」
俺は緑川の頭を軽く撫でた。
嬉しそうに笑顔を作った緑川の首に着けられた鎖が、僅かに音を立てる。
「緑川、ご飯作ってよ。
…ハンバーグがいいな。」
「わかった!ちょっと待っててね。」
緑川が台所の方へぱたぱたと駆けていく。
それを見計らったかのように、ノックの音がした。
「はーい。
……砂木沼。どうしたの?」
砂木沼は、緑川を探しているみたいだった。
まあ、二週間も姿を見せなければ、心配するのも当たり前ではあるけど。
「ヒロト、ハンバーグ出来たよ!」
緑川が大きな皿を持ってきた。机に置いたのを見てから、声を掛ける。
「………ねぇ、緑川、」
「どうしたの?」
不安げに俺を見る緑川を、ぐい、と引っ張って自分の膝の上に座らせる。
「緑川は、俺のものだよね。」
「………うん。当たり前だよ。」
「そっか。良かった。」
多分もう動かない砂木沼が、俺たちを見ていた気がするけど、無視しておいた。
しまっておいたナイチンゲール。
どうして死んでしまったのかな?
きっと、愛が足りなかったんだ。
キスしてみたけど動かなかった。
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