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GENRE=CHAOS+TITLE
兄×弟(前)/豪×狼牙/歪んだ愛情/お仕置き R18


簡易説明**

斬魔狼牙
・財閥斬魔家の当主の庶子。嫡子豪の腹違いの弟
・母親は使用人。正妻に苛められて体が弱って死亡
・幼少の時から豪に性的な躾や調教をされ続けた

斬魔豪
・財閥斬魔家の当主の嫡子で跡取り。完璧超人
・昔から狼牙に歪んだ執着と愛情を持っていた
・狼牙が自分以外見るのは許さない

蛇王院空也
・斬魔家と取引している外資系企業の社長
・一目見て斬魔家の異常性と斬魔家による護国村支配を看破した人間
・狼牙とは昔会っている

天楼神威
・斬魔家に代々使える使用人の息子
・豪の乳兄弟で、唯一豪とマトモに話が出来る人間
・シスコン
・現在は豪の秘書兼SP

天楼久那岐
・神威の妹
・豪の異常性に気が付いているが逆らえない
・狼牙の身の回りの面倒を見る

京堂伊織
・使用人
・狼牙の母の妹
・感情の起伏は少ないが狼牙を大切に思っている
・姉とはかなり年が離れている為、狼牙にとっては叔母というより姉に近い


**


近代的な考えと保守的な考えが交差する時代。

ある財閥の使用人部屋で一人のやや子が産み落とされた。
産んだ女の名前は京堂扇奈。この財閥の使用人の一人。よくある話で、正妻に飽きた当主が若い使用人に手を出して生まれた不義の子、私生児。

母親譲りの美しい黒髪と白い肌、斬魔家の紅い瞳を受け継いだその子供は、戌の日に産まれたので"狼牙"と名付けられた。

だが元々体が弱かった扇奈は正妻の苛めと精神的な疲労に耐えきれず、妹の伊織に狼牙を託して亡くなってしまう。

――狼牙が四歳の出来事であった

その後伊織が育てようとしたが、入ってきたのは正妻と十になるその息子だった。

『奥様…それに、豪様まで……』
『伊織。その子を引き取るつもりですか?』
『は、はい……姉の、遺言でもありましたので』
『まだ下女のお前にどうして子供を育てられましょう。いくらあの女の子供とはいえ、半分は我等が斬魔の血が入った子供。私達が引き取ります。』
『!?』
『豪のよい遊び相手になるでしょう。』

そう云い、伊織の手から狼牙を奪い取り他の使用人に渡す。使用人達は申し訳無さげにしていたが、主人の奥方の手前従うしかなかった。

『宜しく、狼牙。俺は豪。お前の兄ちゃんだ。』
『お兄……ちゃ、ん??』

豪は仮面を取り繕った笑みを浮かべて狼牙に笑いかける。だが狼牙はその仮面を子供ながらの無垢な感情で感じ取ったのかガタガタ震えていた。
自分の母親すら欺いた仮面に初対面の少年が解るなんて……と、神童と称される豪は脳内で色々これからの事を策謀し始めたのだろう。仮面の笑みとは違う、心からの笑みを浮かべた。
狼牙を使用人に任せて、豪達は赤絨毯の上を歩いて部屋へと向かう。ふと、豪が立ち止まって後ろから母親に声をかけた。

『母上。』
『何でしょう?』
『狼牙を俺専属の使用人にして下さい。』
『……!!』

今まで何も欲しがらなかった豪が初めて欲したモノは――。




それから十数年の時が過ぎた。
当時、神童と称された嫡子の少年は他聞に漏れずエリートコースを突き進み財閥の跡取りに相応しい知識と教養を兼ね備えた、時の人となった。きっと豪が当主の座を継げば斬魔家はもっともっと発展するだろう、世間はそう見ていた。
しかも、元公家の家柄で、今では銀行頭取となった家の一人娘と婚約し順風満帆な生活を送っているのだと世間は認識していた。



斬魔家と取り引きをしている外資系企業スカルサーペントグループの社長、蛇王院空也は取り引きの対談の為、斬魔家の本家宅が中央に建つ『護国村』の地を踏んだ。

「はーぁ、相変わらずだけど、何でこんな辺鄙な場所に本家宅があんだよ…」

元々斬魔家は大名の子孫で、先々代が城があった跡地に家を建てたらしい。攻めにくく護りやすい土地なので打ってつけだ。
ボストンバックを手にして歩いてきた空也は村の入り口まで来るとはぁやれやれと肩を落とす。

敷居で囲まれたどこか閉鎖的な村。空也自身、この村に来るのは二回目だった。

「狼牙は……元気だろうか」

一回目は十を越えた頃に父親に連れられて挨拶回りとしてやってきた時だった。

その際、離れの庵近くで包帯と眼帯を巻いた傷だらけの少年が庵の中から庭を見ていたのを鮮明に覚えている。だが、屋敷内の誰もに聞いても少し反応されただけで上手く濁されただけだ。やはり気になって次の日その庵の近くまで行き、庭に身を隠して様子を伺った。庵の中では空也が想像もしない禁じられた行為が行われていた。

『……ッア、……ッ!!』
『そうだ……が、巧いぞ。全く、こういう事だけは…覚える…のが早いな…』
『……ふぅ、んんぐぅ…!』
『出すぞ、全て、飲み干すんだ……』

まさかの行為に、空也は震える身体に叱咤しばれないようにその場にいた。声から察するに一人は豪だろう。

ならばもう一人は?

うめく声は女ではない、そうなると必然的に豪が犯している相手が想像ついてしまう。

『(まさか、あの少年…!?)』

あの豪が一方的に身体を押さえ付けて厭がる彼を凌辱している。世間では神童と呼ばれ完璧超人と持て囃されているあの豪が、雄の本能を剥き出しで言葉で責め立て、一人の少年を凌辱し自分だけの性奴へと調教しているのだ。

『(通りで、皆黙るわけだぜ…)』

事実を知った故に油断もあったのか、尻餅をついてしまい、庭の草が揺れる音が聞こえる。

『ん、誰だ…?』
『(ま、マズイ!!)』
『――私です、豪様。』
『神威?どうした?まだパーティーには時間があるだろう。』

窓の淵に手をおいて外を見渡す豪に、ばれると覚悟した空也だが、予想に反して目の前には豪と同い年に近い、銀髪の少年がたっていた。庭の草が揺れる音を銀髪の少年――神威が草木を掻き分けてきた音だと思った豪は神威と話を進めていた。

『いえ、パーティーの時間ではありませんが、奥様が婚約者を紹介するからその積もりでいろ、との事です。』
『ふーん。ついに痺れを切らしたか、母上も。どうせ婚約者といってもお互いの利益になるような家柄の娘だし、誰であろうと変わらない気がするがな。俺は、狼牙さえ居れば構わない。』
『後、旦那様が紹介したいから直ぐに着替えて来るように、との事です。』

会話が終了し、豪は何やらガチャガチャと狼牙に施すと耳元に囁いて庵から出る。豪が母屋に戻るのを見届けると振り向かずに神威が空也の方に向かって声をかける。

『蛇王院殿。』
『もしかして最初から…分かってた?』
『あぁ。今はこの場を見逃すが、代わりにこの事は全て忘れるんだ。いいな。』
『な…!?』
『狼牙の存在は黙殺されている。この庵に近づけるのも私を含めて数人しかいない。』


『豪様に消されたくなければ――忘れろ、いいな』


神威はそう告げて、抜け道に案内する。周りには厠を探して迷った、と告げていたようで誰も空也の不在時間を怪しむ相手などいなかった。所定の位置に座り、置かれた菓子を食べながらも空也の脳内は先程の庵の中での禁断の行為だった。

『(あれは赦されているのか……狼牙と呼ばれた少年は恭順していたようだから、本当は嫌だったのではないか)』

もしそうならば、関わってしまった俺は……いつか助けなければいけない。
そんな義務も何も無いのだが、空也はただ――助けたいと思った。



村の入り口で突っ立っていたのが余計怪しまれたのか、空也の周りには子供と若者が集まっていた。

「ねぇ、おじちゃん、ごこくむらになんのよう?」
「お、おじ……ッ、俺は、斬魔の皆さんに用があって来たんだ。」
「ざんま?ごうさまのおともだち?」
「あぁ、まぁそんな所かな。」
「――遠いところを遥々お出でくださいました、蛇王院様。ようこそ護国村に。」

子供達に視線を向けていた空也に、奥から声が聞こえる。立ち上がり声の方向に向くと、黒髪の日本人形のような美しい女性が佇んでいた。どこか、儚げな女性。村の若者が「伊織さん」と呼んでいた。

「私は伊織。斬魔家に仕える使用人です。豪様なら本宅でお待ちです。私の後に付いてきて下さいませ」

空也は村の子供達にお土産の金平糖が入った袋を渡して手を降り、伊織の後についていく。案内された応接間で空也は豪を待った。時間になっても来ない豪が気になった空也の為に、伊織は豪を迎えに行く。

どうせいつもの場所だろう、と思いながら――。


→続く


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あきゅろす。
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