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変態共と苦労の多い大空
お前もか!!/大空と嵐






ピンポーン


そのチャイム音に物凄く嫌な予感を感じながらも、玄関へと向かう。
だって、もし母さんのお客さんとかだったら失礼だからね。


「はーい。どちら様ですか?」




ガチャ-



そう声を掛けながら、扉を開けるとそこには真剣な顔をした獄寺君がいました。
いた人物が獄寺君で少し安心する。
もし、南国果実とか恐怖の風紀委員長だったらすぐに扉を閉めてたね、うん。


「あれ? 獄寺君、どうしたの…?」


いつもだったら、すぐさま元気に返答する獄寺君だが…何も言わずにただ俺に不安そうな表情を向けているだけだった。


「取り合えず、上がってよ。お茶くらい出すしさ」


どうも様子のおかしい獄寺君が心配になり、そう言うと今度は緊張した面持ちで「ありがとうございます」と言って、獄寺君は歩き出した俺に後ろに素直についてくる。







「獄寺君…何かあったの?」

 
獄寺君をリビングに通して、かれこれ30分は経っていた。
お茶を出して、何度か色々話しかけもしたんだけど…会話は続かない。
それどころか…獄寺君は俯いたままで、俺の言葉に返す言葉は、はいといいえ、すみませんだけしか返さない。
お前はそれしか喋れない旧型のロボットか? 今のロボットでもまだ色々と喋れるぞ!!
とツッコミたかったのをグッと我慢して、今の言葉を掛けたのだ。
まぁ、様子がおかしかったから心配してたのも本当だけどね。


「……」
「獄寺君、君が何でそんな顔をしているか分からないけれど…俺で良ければ話くらい聞くよ?」


そう言って、やんわりと促してみる。
少しの間をあけて、獄寺君はゆっくりと顔を上げた。
その獄寺君の表情硬い。
切なく揺らめく獄寺君の銀の瞳と俺の瞳が玄関の時以来、ようやくぶつかった。
何秒だったか何分だったかは分からないが俺達は、暫くの間お互いを見つめ合っていた。
そして、獄寺君は決心したように一度目を瞑ると…再び目を開けて俺を真っ直ぐ見た。


「10代目…俺はもういらないんですか…?」


そう切なげな声音で言われた言葉を理解出来なかった為、何の反応も返せない。


「俺は…俺は……! あなたの事をこんなに愛してるのにっ どうして、あの野球馬鹿なんかと!!」


理解出来ずにフリーズしかけてた頭が『野球馬鹿』という言葉で何とか押し留まった。
野球馬鹿って、山本だよね…?
いつの日だったかの…いやここ最近で急速に変わり果てた山本を思い出し、口元が引きつるのをなんとか最小限に抑える。


「え、ちょっと待って。何で、あのへん…山本が出てくんの? ていうか、まず何の話?!
「白を切るつもりですか?! 俺は知ってるんです…10代目が、俺と言う者がいながら…野球馬鹿とも付き合っている事を…!



W H A T ?



俺の頭の中で最初に出てきたのは、言わずもがなこの一言だけだった。
混乱しそうになる頭と嫌な予感がビシビシとするのを必死で無視して言葉を搾り出す。


「ご、獄寺君。俺は、どこからツッコんだらいいのかな…?」


獄寺君は、ただ単にボケてるんだよね?
それだけだよね?
俺にツッコんでほしいだけなんだよね?!
やだなぁ。
それなら、もっと軽いものにしてよ。
キャパオーバーしそうだよはははは。

そうであってほしいという切実な願いは、獄寺君の次の言葉で無くなったも同然になってしまうのだった。


「10代目が突っ込みたいのならばいいんですが…俺としてはやはり突っ込みたいです。って、話を変えないで下さい。それは後々また話しましょう。俺、あの野球馬鹿に直接聞いたんです。もう既に熱く朝方まで深く交じり合ったって…。俺だけではダメなんですか?!」


え、何?
この子一体なんの話してんの?
『つっこむ』って言う言葉が怪し過ぎる。
何について、話し合うかが分からない上に嫌な予感しかしないから、俺は絶対話し合わないからな?
まず、怪しすぎるからね?!
てか、あの変態め、何言ってやがる…?
熱く深く朝方まで交じり合った覚えはない。
朝方まで壮絶な大バトルを繰り広げた記憶はあるがな!!
でも、獄寺君には何よりも一番聞きたい事がある。


「…獄寺君、勘違いだったらごめんね。君と俺がまさか…恋人同士だと思ってたりしなi「何言ってるんですか。俺とあなたは相思相愛の恋人同士じゃないですか」…」



お前もか!!



最後まで言わせずに、更には絶望へ突き落としてくれた獄寺君の言葉に最初に思った事は一つだった。


…獄寺君、病院行っておいで


そう言った俺の言葉はただただ疲労感に溢れていた。
そして、獄寺君とバトルする事になる前に首へと手刀を放ち、眠らせる。



ソファーに横たわる獄寺君、いや――妄想癖な変態第4号を見て、綱吉は大きな溜息を吐くしかなかった。
俺は、変態の神にでも憑かれてんのか…?



思わずそんな馬鹿な事を思ってしまう綱吉であった。
しかし、それはあながち間違いでもなく…これからその変態がまだまだ増えていくことになる。




それは、綱吉が知りたくもない…いや考えたくもないであろうもう少し先の話。


































-END


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あきゅろす。
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