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変態共と苦労の多い大空
え、綱吉を?(…ケーキですよ)/雲と大空





「やぁ」


扉を開けると、そこにはベッドに腰掛け、紅茶の入っているであろうティーカップを優雅に口元に運んでいる並盛中の風紀委員長がいました。


「…って、何で雲雀さんが俺の部屋に?! てか、どうやって入ってきたんですか?! 窓ですか? 窓なんですか?!

「…え、いや。普通に玄関から……」

母さんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


雲雀さんのその言葉を聞くと直ぐに部屋を出て、母さんの元へと急ぐ。


「母さん!」
「あら、ツッ君。お帰りなさい」
「あ、ただいまー。…って、違う! 何で、雲雀さんが俺の部屋に居るの?!」


危うく母さんのほんわか雰囲気に呑まれる所だった…。
急いで、用件を口に出す。


「雲雀君は、ツッ君大切なお友達なんでしょう? きちんとおもてなししなきゃね」


そう笑顔で言った母さんの言葉にピシリと固まる。
え、ちょっ…待て!!
いつから俺の大切なお友達リストに恐怖の風紀委員長の名前が入ったんだ?!


「丁度今日は、駅前のケーキ屋さんで、ケーキ買ってきたのよ。雲雀君と一緒に食べなさい」


そう言いながら、母さんは大きめのトレーに皿の上にのせた二つのチョコレートケーキとフォークを置き、更にティーポットとティーカップを一つのせる。


「そろそろ紅茶も飲み終わっていると思うから重いけど、これもね」


俺がフリーズしている間に母さんは、お茶の準備を終わらせていた。


「ちょ、母さん!! 大体、雲雀さんは…」
「ほらほら、早くお部屋に持っていきなさい。お待たせしちゃダメでしょう? 母さんは、夕食の支度するから」


誤解を解こうとしたけど、トレーを押し付けられ、半ば強引に部屋に追い返されてしまった…。
母さん…話を聞いてくれ。
廊下でずっと突っ立って、そう思っていても仕方ないので、重い足取りで部屋へと戻る。



ガチャ―



「…雲雀さん、母さんから…って何してるんですか?!


不自然に椅子から腰を上げて、そわそわしている雲雀さんが怪し過ぎて思わず、大きい声になる。


ちょ、勝手に開けないでよ! 大体ノックするのが普通でしょ?! 信じらんない!

「あ、すいません…」

雲雀さんの慌てっぷりに思わず、謝ってしまう。
…ん?
待てよ、ここ俺の部屋じゃん!


「ここは俺の部屋です!! ていうか、どこの女子中学生の台詞ですか?! ああ、そうじゃない!! 何やってんですか?!」

「そんな事関係ないよ。僕が居る部屋が僕の部屋だよ。べ、別に綱吉と一緒の部屋に住みたいんじゃないんだからね?!

「クールに理不尽極まりない事を言った後に意味の分からないツンデレを発動、という高等技はいりません。それよりも、さっきこの部屋で何をしていたのか白状して下さい」

「…まぁ、いいじゃない。あ、そのケーキ美味しそう。さぁ、一緒に食べようか」


俺の冷静なツッコミを全部綺麗にスルーして、雲雀さんはいつの間にか俺の手にあったトレーを取って、テーブルの上に下ろした。
てか、この人…人の部屋で我が物顔だな、おい。
目の前の光景に俺は、目を手で覆って少しの間だけ現実逃避してみる。
…変わる訳ないので、早々に現実逃避を諦めてをもう一度問い詰めようと雲雀さんを見る。


「雲雀さ…ってはや!! 食べるのはやっ


皿の上からチョコレートケーキが一つ消えており、もう一つのケーキに取り掛かろうとしている雲雀さんの姿が目に入る。
一緒に食べようとかいいながら、先食ってるのおかしくね?!
いや、俺が一緒に雲雀さんと食いたいって訳じゃないけどさ!!
てか、それ…!


「ちょ、それ俺のケーキですよ?!」

「え…ああ。知ってるよ? はい、綱吉あーん」


おい、目泳いでますよ。
それに、え、って言ったよね?!
…ていうか、あーんって雲雀さんがあーんって…!
こわっ!
気持ち悪っ!


「い、いや。いいですよ。雲雀さん、食べて下さい」

「え、綱吉を?」


な ぜ だ ?


どの流れで俺を食べる事んいなるのか教えて欲しい。
あ、やっぱいい。
嫌な予感がする!!


「…ケーキですよ」
「……そう」


残念そうな顔すんな。
本当に残念そうな顔をして、俺のケーキが食べられていく…。
ああ、俺のチョコレートケーキが…!!
それを暫く見つめていたが、空しくなって視線を下に落とした。
…ん?
何か雲雀さんのポケットからはみ出てる…?


「あれ? 雲雀さん、ポケットから布がはみ出していますよ」


俺がそういうと……雲雀さんは盛大に咽た。
え、何で?
俺が不思議に思うのと同時に重なるいつかの嫌な記憶。
そう、あの忌まわしき変態1号がやらかしたことで、怒りが爆発したのは記憶に新しい。
思い出すだけでも、腹が立つ。
ん…待てよ…。
ま、まさか…!


「ちょ、綱吉! 何するの?! 君は受ける側でしょ!!


何の話だ何の!!
そう思いつつも、雲雀さんの抵抗を総無視して、素早くポケットからはみ出ている布を引っ張る。
そこから出てきたのは……トランクスだった。


「そ、そそそそれは、僕のだから!!」

「…100歩譲って雲雀さんが、自分の下着をポケットの中に入れて持ち歩く変態だとしましょう。ですが…これは紛れも無く俺の下着です


静かに俺がそう言うと、雲雀さんの肩がビクリと跳ねた。


「つ、綱吉? こ、これはホンの出来心でっ」

「出来心…? そうですか…」


俺がこれだけしか言わないことに少し安心している雲雀さんが見える。
でも…俺、怒ってるんだよねぇ?
あの変態1号と同じことしやがって…。


「雲雀さん」


俺は満面の笑顔で雲雀さんを呼ぶと…瞬時にハイパー化をする。


変態は、ファッキュー☆

更に笑顔を深めて、そう言った。









綱吉の部屋から雲雀の断末魔が上がる。
それを1階で聞いていた綱吉ママンはというと……


「あらあら、元気ねぇ」


呑気にそう言っていた。


































-END


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