[携帯モード] [URL送信]
No.014
 Surely it is all right



あれからのあたしは、みんなのおかげで、着々と強くなることが出来ている。
みんなのおかげで、自然と笑えるようにもなった。
斬魄刀の命とも、修業を繰り返して、始解とその応用はもう完璧だ。

あまりにも、うまくいきすぎていて、あたしは油断していたのかもしれない。


「よう、緋色」

「今日も頑張ってんな」

「恋次くん!修兵さん!」


十番隊の演習場に行く途中。
たまたま会った2人と話しているときだった。


「あ、恋次くんってばまた鯛焼き食べてるー!本当に好きだね、鯛焼き」

「こんな美味ぇもん、食わねぇ方が損だろうが」

「確かに美味ぇけど、流石に毎日は食わねぇだろうが」

「修兵さんの言う通り!たまーに食べるから美味しく感じ……え?」


視線を感じてバッと後ろを振り向いたが、誰もいない。
確かに、前にしょっちゅう感じていたあの視線を感じたのにだ。

何だったんだろう、そう感じながら前を向くと…


「え……っ」


背中から血を流して倒れていく2人を見た。

2人の後ろには、黒に紅い桜模様の着物を着た男の人。
返り血をペろりと嘗めてニヤリと笑った。


「に、げ……ろ…」

「緋色………っ」


苦しそうな2人を見て、あたしは目をつむった。


「命…」

《わかっている》

「ありがと」


名前を呼ぶと、すぐに出てきた命。
目で合図すると、2人を治療し始めた。

2人を命に任せて、あたしは男と対峙した。


「ククッ……やはり、守護者は変わらんな…その澄ました顔」

「汚い大人よりはマシ…アンタみたいなね」

「言っておれ」


相手は刀を抜いた。
恋次くんと修兵さんが後ろで何か言ってるけど気にしない。

ただ振り向いて一言、


「きっと大丈夫だよ」


今ならそう言えるよ。
もう昔のあたしじゃないから。




090407
九条雨音






あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!