Again
18
朝、目が覚めると、隣にお前はいなかった。
俺は飛び起きると、走ってドアを勢いよく開けた。
「どうしたの?」
すると、後ろから聞こえるお前の声。
ただ、先に起きていただけだった。
俺はほっと肩を撫で下ろした。
そんな俺に引き換え、お前は普段と変わらない様子だった。
昨日のことは夢だったのかもしれないと思うほど。
ただ、少し腫れたお前の瞼だけが、夢ではないことを証明していた。
俺は旅館を出ると、直前に売店で買ったキーホルダーとメモを差し出した。
「え?これ…?」
それを見て、首を傾げるお前。
「お前がここに来た記念。俺のことを忘れないように、忘れても思い出せるように。」
そう言って、お前と同じ自分用のキーホルダーも見せた。
メモには『絶対死ぬな 政明』という文字と連絡先を書いていた。
「…ありがとう。」
朝からずっと我慢していたのか、涙腺が決壊したかのように、お前の目からは涙が一気に溢れてきた。
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