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Again
16
「えっ?!」



予想もしなかったその言葉に目を見開いた。



「もうほとんど薄くなったんだけど、体中に殴られたみたいな痣がある。僕、虐待…受けてたのかもしない。」



そう言われて、お前に会った日の忘れようとした記憶を思い出した。


そして、お前はその痣を忘れることなんてできないんだということに今更ながら気がついた。


記憶を忘れる前のお前と今のお前を繋ぐ、唯一の手がかり。


それが不幸なことに虐待を受けた印。



「そんな…、…違うかもしれない…だろ。」



狼狽して、根拠のない慰めの言葉を口にした。


そして、頭を撫でようとして伸ばした手は避けられた。


それも当然の事だったのかもしれない。



「僕だって、そうじゃないって思いたかった。でも、捜索届も全然出されないし…それに、これ…。」



お前は先程からずっと強い力で握り締めていた左手の手首を俺に向けて見せた。


そこには、何本もの細く赤い横線。



「僕、きっと死のうとしてたんだと思う。…そんな記憶、思い出したくない。」



机にはポタポタと涙が残した跡があった。




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