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パワーストーン物語
F
これには二人共内心驚いた。
ケーキにはコーヒーではなく紅茶でなくてはならないというのが二人のこだわりだったからである。
なんか自分と似てる..
そう互いに言いそうになったが、ケーキが運ばれて来るとすぐに目の前の物に夢中になった。
「うま〜い!」
「美味し〜い!」
また言葉が重なった。
それでも尚美は続けて話し始めた。
「とりあえず本を有り難うございました!でも実際にはまだクリア出来てないんだ..」
「なに!?あれだけ詳しく書いてあるのに倒せなかったのか!!?」
「違うよ!!実家にゲーム機を置いてきたから出来なかっただけ!」
「そうなのか..それは残念だったなぁ..俺の家に来れば好きなだけやらせてやるけど、なにしろ俺も名古屋から出て来た独り暮らしの貧乏学生なだけにとても女の子をうちに呼べるような環境じゃあねぇしなぁ..ゴメンな!」
「そんな、いいよ〜、どうせ家なんかに訪ねて行けないから!」
「そりゃそうだ!ド変態の腹ぺこオオカミの俺のうちにゃー、危険過ぎて行けません!てか?」
「もう〜!そこまでは言ってないでしょうが!!」
「そうざ〜ますか!おほほのほぉ〜」
変なやりとりがしばらく続いたが、田舎を出て来て以来初めてと呼べるぐらいその日は楽しく充実した一日となった。
彼もその気持ちは同じだった。
それからまたしばらく会わない日が続いたが、ばあちゃんからの荷物が届いたので晴れて眼鏡を購入出来るし彼ともまた会えるのだ。
そういえばまた名前聞くのを忘れてしまった。
ばあちゃんからの包みを開けて驚いた!
眼鏡とコンタクトを両方買えておつりまできそうなぐらいの仕送り額だったからだ。
更に今度もまた長細いケースが入っている。
開けてみると案の定、またアクセサリーだった。
ペリドットのリーフ型の石がついた18Kの細いチェーンネックレスだった。
「ばあちゃん!あれ程宝石はいらんからと念を押しといたのにぃ〜!」
それでも尚美には文句を言う資格などない。
それにやがて来る明日を思うとわくわくした。
明日は眼鏡を買いに行って、あの楽しい彼に会えるのだ!!




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あきゅろす。
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