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APH/novel
T

※ヘタ鬼小説です。
※眉毛がリタイアする世界の話が含まれます。
※設定的にえ?てなる箇所が含まれるかもしれませんが余り気にせず。
※仏英←日、米?

某サイトから来た方に限り、また、某サイトの仏英のカップリングボード文面を読んだ方に限りこの原作をもじって遊んでもらっても構わないです。






―――――――――






カツ、コツ、カツン。

豪勢な造りにも関わらず、廊下に足音がかなり遠くまで振動して響き渡る。

この屋敷内をやたらと歩き回る事は命の危険に晒されていること他ならない筈なのだが、どうしてもこの綺麗で落ち着いた内装のせいで、更には背中にいる人物のせいで嘘にすら思える。


(……ま、嘘だったらいいことなんだけどなぁ。)



なんて、微かに現実逃避にも似たような言葉をフランスは、自分の首に抱き付いているイギリスの体温を暖かく感じながら頭の中で呟いた。






嗚呼、愛する人形へ。





「…アメリカ、大丈夫…だよな……?……日本達も…。」


ふと何の前触れも無しにイギリスが伏せ目がちにぽつりと言い放つ。

こういう状況でネガティブになったり、マイナス思考になることは最も避けるべき事。
だからこそ不安要素を含んだ言葉を放つのはタブーであるべき行動だったが、今のイギリスにそれを留める事は不可能だった。


大丈夫だよ。

その一言がもし今言えたならばイギリスを救うことが出来たかもしれない。
だが、今この状況になってそんな言葉は単なる気遣いや綺麗事にしか過ぎない。下手に言葉を吐いて逆に何よりも大事なイギリスをただ、傷付けるのが怖くてフランスはその一言を飲み込む。

その代わりに、フランスは自分の首に強く絡み付く腕にそっと触れ、それを柔らかく解くようにしながら優しく触れて撫でてやった。



三十分程前の話だ。
日本、イタリア、ドイツ、ロシア、中国、フランス、アメリカ、イギリス、カナダ、プロイセンの全員で固まって鍵を探ったり時計を探ったりしている内に、あの化け物に襲われた。

初めは皆で力を合わせて撃退を試みたのだが、いくらか体の大きくなっていたそれを退けることは敵わず、逃げる事にした。

いくつか時計を直してしまった後だから、時間の歪みも少く安全性の見込みが有る部屋も少ない。
ましてやこの大人数で一気に逃げれば足の遅い誰かが追い付かれてしまう可能性が高い。


そこで、リスクを減らすために何人かに分けてバラバラに逃げる事にしたのだった。

しかし、問題が1つあった。

それは、イギリスの過激な体力の消耗。
一番始めこそ頼りなく力も小さな彼であったが、時間につれて敵の動きを止めたりと言った他の誰かには代役を務めることが出来ない力を見せた。……が。その反面、その力を酷使する余りに体は疲労でぼろぼろになり、仕舞いには自分の足で歩くのも難しい始末だった。

つまり、誰かがイギリスを背負って逃げるしかない。
始めイギリスはそれを聞いた瞬間に「だったらいいから俺を置いていけ!時間がねぇ来るぞ!」なんて叫んで拒んだ。
話の流れ的には体力もイギリスとの信頼もある程度あるアメリカがやる筈だったが、今思えばいつまで経っても首を縦に振らない頑固な恋人に痺れを聞かせたフランスが無理矢理にイギリスの肩を引っ付かんで、引き摺るようにして走り出したのが正解だったかもしれない。

もしあのまま、アメリカがイギリスを説得する事を続けていたら間に合わなかったかもしれないからだ。

別れ道は三つ。
ひとつには日本、イタリア、ドイツ、プロイセンが。
ふたつめにはカナダ、中国、ロシア。
そして、こっちにはフランスがイギリスを担いで走り出したのを追い掛けて…アメリカも着いてきていた筈だった。

運悪く、化け物はフランス達のルートに着いてきて追いかけてきたのだ。
さらに、フランスはイギリスを背負っていた訳ではない。肩を引き摺って居ればスピードも余り早くない。走っていたってじきに追い付かれる。


『…フランス!俺が時間稼ぎをする!出来るなら今ちゃっちゃとイギリス背負って早く行ってくれ!』


条件反射で、でも、と口ごもったがアメリカの折角のその作戦を無駄にしてしまえばアメリカ所か、更にはアメリカ本人も一番大切なイギリスすら危険になってしまう。フランスは、戻りたくて仕方ない心を圧し殺し、アメリカの名前を叫ぶイギリスを無視して背負って走った。

…アメリカが今どうしているかは正直、二人には解らなかった。

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