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そっと口唇を離した瞬間、少し濡れた音がした。

静かな楽屋にいやに響いた。




「っ…‥ゃ、あの…。」


何言えばいいかわかんなくて、咄嗟に出たのが…


「ぉ、俺だけ覚えてないのっ…不公平っじゃん…?」


ドラマのセリフだった。


「っ‥し、信じらんなッ……っ!」




―パシンッ!!!




「ぃって…」

「やっぱ最低だ!テメェは!//」


―ドンッ


「わっ…」


―ガチャン


亀が行ってしまった。



口唇を離した後の亀の顔は真っ赤で、瞳が潤んでた。

ドキッと脈打った。



「っ?…あっ!」



楽屋を出ると、先を歩く亀がいた。


「ちょ、亀待ってよ!っ…待てって!」


―ガシッ


「…なに」

「っ…‥ゴメン。」

「…はぁっ‥謝るならすんなっつの」

「だ、だって…亀怒‥っ──!」




襟元をグッと引っ張られたと思ったら、亀にキスされた。




「っ……か‥め…?」

「いっとくけど、‥俺のアヒル口高いんだからな」



そう言うと
ニヤッと笑って
またスタスタ歩き出した。



「あ!それと!」


ピタッと止まって、クルッとこっちを向いた。


「っ?」

「これから寝込み襲うの無しな(笑)」

「は‥?………‥って!!!亀起きてたの!?」

「さぁ〜?」


亀は悪戯っぽく笑った。

また胸が、キュンとした。


あー、分かった。

離れてみてやっと分かった。

留学したからじゃなくて

留学する前から

本当はずっと…





「っ亀!」

「?」

「ありがとな!」

「はぁ?意味わかんない」

「俺さ、お前のファーストキスの相手が俺で良かったって思った」

「っ…。ますます意味わかんない」

「…だって俺」





亀のこと
好きだから。




             END.


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