page4 そっと口唇を離した瞬間、少し濡れた音がした。 静かな楽屋にいやに響いた。 「っ…‥ゃ、あの…。」 何言えばいいかわかんなくて、咄嗟に出たのが… 「ぉ、俺だけ覚えてないのっ…不公平っじゃん…?」 ドラマのセリフだった。 「っ‥し、信じらんなッ……っ!」 ―パシンッ!!! 「ぃって…」 「やっぱ最低だ!テメェは!//」 ―ドンッ 「わっ…」 ―ガチャン 亀が行ってしまった。 口唇を離した後の亀の顔は真っ赤で、瞳が潤んでた。 ドキッと脈打った。 「っ?…あっ!」 楽屋を出ると、先を歩く亀がいた。 「ちょ、亀待ってよ!っ…待てって!」 ―ガシッ 「…なに」 「っ…‥ゴメン。」 「…はぁっ‥謝るならすんなっつの」 「だ、だって…亀怒‥っ──!」 襟元をグッと引っ張られたと思ったら、亀にキスされた。 「っ……か‥め…?」 「いっとくけど、‥俺のアヒル口高いんだからな」 そう言うと ニヤッと笑って またスタスタ歩き出した。 「あ!それと!」 ピタッと止まって、クルッとこっちを向いた。 「っ?」 「これから寝込み襲うの無しな(笑)」 「は‥?………‥って!!!亀起きてたの!?」 「さぁ〜?」 亀は悪戯っぽく笑った。 また胸が、キュンとした。 あー、分かった。 離れてみてやっと分かった。 留学したからじゃなくて 留学する前から 本当はずっと… 「っ亀!」 「?」 「ありがとな!」 「はぁ?意味わかんない」 「俺さ、お前のファーストキスの相手が俺で良かったって思った」 「っ…。ますます意味わかんない」 「…だって俺」 亀のこと 好きだから。 END. [*前へ] |