page2 俺はホテルの亀が行きそうな場所を駆けずり回った。 「っはぁ…はぁっ‥っ…ったくどこ行ったんだよ…。」 結局一階のロビーまで下りてきた。 外では大雨が降ってて、ホテルのロビーと中庭を隔てる巨大な硝子に激しく雨が打ちつけられていた。 俺は硝子に近づいて空を見上げた。 「わぁ〜…すげぇ雨っ…かめ……。」 中庭のベンチに座りながら、膝抱えてぼぉ〜っとしてる亀の姿があった。 1人で、傷ついてた。 あまりに痛々しくて、 目を逸らしてしまった。 その場から一旦離れ、ロビーのホテルマンから傘を借りた。 ─ザー… 雨の中、 雨音がうるさ過ぎて俺の足音は完全に掻き消されて、俺が真後ろに立っても亀は気付かなかった。 だけど俺には、 歌う亀の声が 微かに聞こえた。 「何を信じればー、明日へゆけるだろー。」 また胸が痛くなった。 . [*前へ][次へ#] |