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あれから亀はひとりでずぅっとぼ〜っとしてて、流石にちょっと心配になった。
そしたらいきなりスクッと立ち上がって、俺のとこまでやってきた。
「仁…。」
「あ?何?」
大事な話のときは、亀は決まって俺のことを仁って呼ぶ。
昔みたいに。
「大事な…話、なんだけど…。」
「ぅん。何?」
「っ……」
此処じゃ話しにくいらしく、亀は黙って俯いてしまった。
「…亀っ何か飲み物買い行こ!」
「ぇ…」
「早くっ」
「ぅん…」
そして楽屋をでていった。
スタジオ前の階段に腰掛けて
一息ついてから話しかけた。
「で?どうした?」
「…仁さぁ……痴漢にあったことある?」
「えっ、ん〜そりゃあ尻撫でられたことぐらいはあるけど…。亀…今日痴漢されたの?」
亀は何も言わずにコクンとだけ頷いた。
「っでもそんな深刻なことじゃなくないっ?(笑)…だって、尻撫でられたぐらい…でしょ?」
「……」
亀は黙ってしまった。
それによくみると身体が震えてる…
「…もっと…ヤバイことされっ‥た?」
恐る恐る聞いてみると、少し口唇が動いた。
「っごめん。なんつった」
「…直接触られた…」
「っ!?」
一瞬言葉が信じられなかった。
「っ…気がついたらっ、パンツの中に‥手ぇ突っ込まれてて…。…っ満員電車だからっ、なんもできなくて…。しかもっなんか変な声でるしっ‥‥。叫びたくてもっ、声でちゃったら、恥ずかしいし…。怖くてッ‥叫べなかった…」
亀の声は震えてて、今にも泣きそうな声だった。
「そしたら…メンバーの中にも‥俺のこと、そういう眼で見てる奴ぃんのかなって…っなんか、そんなこと思っちゃって……。中丸に触られたら、電車の中のこと思い出して…。だからっ、振り払っちゃった…。」
膝に顔を埋めて、泣くのを必死に堪えてる様にも見えた。
「俺っ…どぅしょぅ…。…怖い…」
膝に顔埋めたまま、
とうとう泣き出してしまった。
こんなに弱い亀を見たのは初めてだった。
初めて亀が小さく見えて
唯々、守ってやりたくなった。
抱きしめてあげたかった。
でも男に対して拒絶反応を示してる亀を、
抱き締められなかった。
亀に触れることが許されなくて、なんだか少し苛々した。
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