鳳凰の宮学園 優しい時間 2 龍弥君は僕の背中を撫でてくれ、僕はその気持ち良さに眠ってしまいそうになった。 「領、もう少ししたらバスタブのお湯が沸くから入ろうな。」 僕は龍弥君の胸から離れて顔を見つめた。 「え?良いよ、部屋で入るから!龍弥君に迷惑かけたくない。」 「遠慮しないで。それに体が冷えきってるから、早く温めないと風邪を引いてしまう。」 僕は毛布にくるまれていた自分の体を直に触ってみた。 ホントだ、冷たい。 ん? あ〜! 服を着てない。 そうだ、不良達に脱がされたんだった。 ボワッ・・・/// 龍弥君が助けに来てくれなかったらもう少しで・・・僕。 ほ、本当に危なかったんだぁ。 「領・・・り場に困る。」 「え?何て言ったの?」 龍弥君の声が聞き取りにくくて、もう一度聞いたみたら。 「何でもない。それよりバスタブに行こう。もうお湯が沸いてるだろうから。」 頬をほんのり染めてから、話しを逸らされた。 僕はそれ以上聞けずに、龍弥君に促されてバスタブに向かおうとソファから立ち上がった。 ズキンズキン。 体の節々が痛む。 「領、歩けるか?」 「う、うん、なんと・・・か?」 言い終わらない内に僕は龍弥君にだっこされた。 いわゆる姫抱きってやつを。 「た、龍弥君、降ろして。僕、歩けるから!///」 「遠慮しないでって言っただろ、領。」 「で、でも〜!」 龍弥君は僕に構わずにスタスタと歩いていく。 龍弥君、恥ずかしいんですけど。 廊下を通っていて気付いたけど、此処は朝食を食べに来た建物だ。 生徒会の寮・・・だよね? 「領、此処が浴室だよ。」 「うん。」 浴室に入ると、内装の煌びやかさに驚いた。 目がチカチカする。 金・銀・ダイヤモンド? 鏡の縁取りは宝石で埋められていて、床は大理石だ。 は、派手だなぁ! 誰の趣味なんだろう。 僕が浴室の装飾に目を奪われていると、龍弥君が笑った。 「ビックリしただろ?この建物は鳳凰の家が大正時代に建てた物なんだ。この浴室はその時の奥方の趣味らしい。俺も最初は驚いたよ。」 「そうなんだぁ。でも凄い。僕が使っても良いのかなぁ?気が引けちゃう。」 「領に使って貰えたら喜ぶよ。」 「え?」 龍弥君はハッとしたようだけど、何事も無いように僕に言った。 「さっ、入ろう。お湯が冷めてしまう。」 「うん。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |