鳳凰の宮学園
優しい時間 1
部屋が暖か・・・い。
うっすら目を開けると、そこは見たこともない豪華な天井だった。
ここはどこ?
確か僕は、不良達に・・・。
あっ!
僕は体を起こした。
い、いた、い!
お腹と顔が痛くてズキズキする。
さっき自分の身におこったことを思い返して、僕は体が震えてきて涙を流した。
ううっ。
なんであんな目に?
僕が一体何をしたというの?
泣いていると、部屋に誰かが入ってきた。
「領、気付い!?」
優しい声。
「領、領、大丈夫だ。俺がいる!泣かないで!」
あぁ。
助けてくれたのは、龍弥君だったんだ。
龍弥君は僕を力強く抱き締めてくれた。
僕は感情が昂ってきて龍弥君に泣きついた。
「ひ、ひっく、た、龍弥君、龍弥君・・・。」
龍弥君はギュッと全身で僕を包んでくれた。
温かくて安心のできる大きくて広い胸だった。
しばらく龍弥君の腕の中にいたら、気持ちが落ち着いてきて、急に年下の龍弥君に甘えていることに恥ずかしくなった。
「龍弥君、ありがとう。僕を助けてくれたんだね。」
龍弥君は泣きそうな顔をして僕に謝った。
「ごめん、もっと早く見付けられれば・・・領をこんな目にあわせなかったのに。」
僕は龍弥君の言葉に、またホロリと涙が出てきた。
嬉しくて。
そんな僕の流した涙を龍弥君は唇で拭ってくれた。
僕はびっくりしたけど、龍弥君の温かな唇が気持ち良くてされるがままに大人しくしていた。
「う〜ん、くすぐったいよ。龍弥君。」
僕は龍弥君を見上げて笑顔で言った。
龍弥君はそれでも止めずに、僕の顔を余すところなく唇で触れていた。
も、もしや。
こ、これってキス?
はっ。
僕のバカ。
龍弥君はただ気遣ってくれてるだけなのに。
「領、体が痛むところはないか?」
「だ、大丈夫だよ。」
龍弥君の眼孔が鋭く光った。
そして僕の頬を両手で包んでから、優しく話し出した。
「領、我慢しなくて良いんだよ。俺には何でも話して欲しい。」
龍弥君の言葉は僕の心をあったかくさせ、また涙が出てきた。
こんなに頼りがいのある人に出会ったことがなかったから、どうしていいか分からない。
僕、甘えてもいいの?
「俺は領が好きだから、領には頼って欲しいし、甘えて欲しい。年下だから頼りないかもしれないけど。」
龍弥君はそう言って少し笑った。
僕はポロポロ涙が溢れてきて龍弥君に抱きついた。
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