鳳凰の宮学園 登校 3 鳳凰さんの言葉に、僕は驚きのあまり大声になった。 「ええっー!?いいです、結構です!自分で行きます。」 鳳凰さんはニーッコリ笑って。 「遠慮すんな。俺様に案内されるなんて光栄なことなんだぜ。喜べ領!」 うっ。 ホントに俺様だ。 「本当に大丈夫ですから!」 本気で拒んでるんだけど、どうしてわかってくれないんだろう? 「遠慮するなんて、愛い奴だなぁ。ところで職員室に何の用なんだ。」 「僕、転校してきたから。」 「あー!転校生なのか。それで見たことなかったんだな。フッ、俺様の事知らないのも当然だな。」 断わろうと再度口を開きかけた時、僕は周りの環境に初めて気付いた。 僕と鳳凰さんを生徒達が囲んでいる。 しかも僕を睨んで、殺気めいたオーラが漂っている。 なぜ? 睨まれてるんだ。 訳が解らない。 僕の異変に気付いた鳳凰さんは、周りの生徒を見回してから声を掛けた。 「俺様の鞄、持ちてぇ奴いるか?」 途端に周りがざわめき鳳凰さんの鞄が取り合いになった。 「僕が持ちます!」 「俺が!」 「放してよ、私が持ちます!」 「あんたが持ったら鳳凰様の鞄が汚れるわよ!」 「退けよ、僕が!」 す、スゴイー! なんだこれは? まるで女子校みたいだ! 僕が呆気に取られていると、鳳凰さんに手を引っ張っられた。 「えっ?鳳凰さん、カバンは?」 「いいから、ほっとけ。さぁ行くぞ。」 鳳凰さんと僕は輪の中から脱け出して、職員室に向かった。 その頃、鳳凰さんの鞄を取り合っていた集団は、僕達が居ない事にやっと気付いた。 「鳳凰様は?」 「まさか、あのフード被った奴と一緒に行かれたのか?」 「誰なんだ、あいつは?」 集団はざわついたが、一人の男が通り掛かると静かになった。 そして一斉に。 「おはようございます!フレデリック様」 「good morning」 一声掛けると、フレデリック様は風のように去っていった。 その場にいた全員がボーッとして、溜め息をついた。 「美しい!」 「ステキ!」 「抱かれたい!」 各々感想を述べると同時に予鈴のチャイムが鳴った。 集団は一斉にその場から居なくなった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |