鳳凰の宮学園
登校 2
僕は冷や汗をかいた。
駄目だ!
初日からパシリになったら、ずっと使われる!
僕は勇気を持って美形にカバンを突き返した。
「カバン、自分で持ってください!僕、職員室に行くので、さ、さよなら!」
僕は急いでその場から離れた。
はぁ。はぁ。はぁ。
もう大丈夫かな?
思いっきり走ったから息が苦しい。
僕は手を膝について、頭を下げた。
その時、頭上から声がした。
「フーン、ちびっこのくせにカケッコは速いんだ。」
ビックリした。
僕を追いかけて来たのに息一つ乱れてない。
「しかーし、俺様の言うことが聞けないならお仕置きが必要だな。」
な、何なの?僕をお仕置きするだって?
どういう事?
どうして初めて会った人にお仕置きされなきゃいけないの?
なんか猛烈に怒りが沸いてきた。
「僕、急いでるんで失礼します!」
口調も刺々しくなった。
だって仕方ないよ。
この人、失礼なんだもの。
「オイ!」
僕は構わずに歩いて行った。
「オイ、待て!」
美形が僕の腕を捕まえた。
僕は必死に抵抗したが、美形の腕はビクともしない。
悔しい。
悔しくて涙が溢れて来る。
「・・・!!わ、悪かったよ。泣くなよ。なんかすげぇ悪い事したみたいじゃん。なぁ、ちびっこ。」
ううっ。
泣くつもりなんて無かったけど、勝手に涙が零れるんだもの。
「あーあ。ほれ、ハンカチ貸してやるから。拭けよ、鼻水。」
僕は睨んだ。
鼻水なんて出てない。
本当に失礼な奴だ。
だから僕は、鼻水が出てないけど、ムカつくから思いっきり鼻をかんで、美形に返してやった。
美形は唖然とした。
そして笑い出した。
「アハハハハハ♪お前、面白すぎ!名前なんてぇーの?俺は鳳凰 玄武。二年生で特別クラスのA組。ちなみに今年度の生徒会長の有力候補だ。超美形な俺様に一票よろしく!」
僕は驚き過ぎて、口が開きっぱなしだ。
鳳凰?それって、この学園の名前だ。
と言うことは、この俺様は学園長の息子なの?
しかも特別クラスってことは、超頭いいんだ?
人は見かけによらないなぁ。
僕が感心していると鳳凰さんは話しかけてきた。
「名前は?」
「柊木 領・・・です。」
「領かぁ。うん!そう言えば職員室に行くって言ってたな?連れてってやるよ。」
鳳凰さんは、さっきまでの態度が嘘のように、ニコニコしながら僕に言った。
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