鳳凰の宮学園
朝 3
外観と同じように中もアンティークのインテリアが装飾されていた。
しかも、寮はライオン像だったけど、この洋館は龍の木像が置いてあった。磨かれているから、ピカピカ光ってまるで生きているみたいだ。
「わぁー!スゴイ。これが寮なの?貴族のお屋敷みたい。」
僕が感心していると、龍弥君は楽しそうに微笑んだ。
「領、こっちに来いよ。」
龍弥君に呼ばれて行くと、そこは小さな部屋だった。大きな出窓の横にテーブルが置いてあり、そこからは外の景色が一望できた。
「今は雪で覆われているけど、春になると庭園が花で一杯になって綺麗なんだぜ。」
龍弥君は得意気に言った。あっ、もしかして。
「ひいおじいさんがお手入れしているの?」
龍弥君は一瞬目を見開いてから、嬉しそうに笑った。
「覚えてたのか、昨日の話。」
「うん。」
だって龍弥君の話だもの。忘れるわけない。
「領、座って。朝飯にしよう。」
龍弥君は椅子を引いてくれた。まるでお姫様を扱うように、片腕を胸に当てて、もう片方の腕を椅子に指して。
「あ、ありがとう。」
僕は龍弥君のあまりのかっこ良さに顔が火照るのを感じた。
「どういたしまして。じゃ、俺は朝飯運んで来る。」
「あっ、僕も手伝うよ。」
立ち上がろうとしたら、龍弥君に制された。
「待ってろよ。」
ウインクされながら龍弥君に言われた。
どうして龍弥君は、あんな気障なことをさりげなく出来るんだろう。僕の心臓はさっきからドキドキしっぱなしだ。
「お待たせ、領。」
龍弥君がトレイを持って戻って来た。その後ろにはシェフみたいな人がいて、同じくトレイを持っている。
「待たせたな、領。」
龍弥君はそう言うと、シェフらしき人とテーブルに朝御飯をセットしていった。
美味しそう!
朝からこんなにご馳走が並べられるのを今まで生きてきて見たことない。
「領、こちらはシェフの酒井さん。主にこの洋館の料理を作ってくれてるんだ。」
「初めまして、シェフの酒井です。私の料理がお気に召すとよろしいのですが。」
酒井シェフは笑顔の美しいハンサムな人だった。
「初めまして、柊木 領です。こちらこそ朝からこんな豪華な食事を作って頂いてありがとうございました。」
酒井シェフはニッコリ笑った。
「どういたしまして。それではごゆっくり召し上がって下さい。」
酒井シェフは部屋から出ていった。
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