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鳳凰の宮学園
トイレにて 2


「く、苦しい・・・放して。」



僕が掠れた弱々しい声を出しても、彼は力を弱めてくれる気はなさそうで、更にグイグイと締め付けながら。



「放すもんか!御二人を手玉に取って傷つけるなんて最低だ!今すぐこの学園から出ていけ!性悪野郎!」



そう言い捨てると彼は腕を振りかぶって、もの凄い速さで僕に襲いかかった。



「!」



「領!」



殴られる!



そう思った瞬間、彼の放った平手打ちが左頬に命中した。



「っつ!」



「くっ!!おい、お前、領に何てことすんだよ!?」



彼の仲間たちが河上君を後ろから羽交い締めにしているせいで、河上君は身動きがとれないでいた。



「フン!こんな奴、痛い目に合わなきゃ性格が直らないんだ。打たれて当然さ。君も早くこんな奴と離れた方が身のためだよ」



頬がヒリヒリ痛んで涙が零れそうになった僕に、彼はお構い無しに僕を批難した。

そして止めを刺すことを忘れずに。



「いい?もう一度言っとくけど御二人には二度と近づかないでよ!解った?でないと今度はどんなことになるか責任もてないよ、フフン」



吐き捨てるように言うと、勝ち誇った笑みを浮かべ僕を蔑んだ目で見た。

それから彼は後ろを向いて仲間に、「行くよ」と声を掛けて、トイレから出て行こうとした。



そんな彼等を見て、僕は無性に腹が立ってきて、後先考えずに彼を呼び止めた。



「ちょっと待って!」



彼等は一斉に止まり、振り返って僕を見た。

何だか驚いているようだけど、構わずに話始めた。



「寮長と神村先輩のことだけど、僕は2人のことが好きだから、絶対に離れたりしないよ。」



彼等は最初僕の言った言葉が理解出来ないみたいにポカンとしていたけど、段々と身体を震わせ殺気の隠った目で睨んできた。



「な、な、な、生意気だ!」

「最低、二股掛けるなんて!」

「恥知らずにも程があるよ!」



口々に言い募る彼等に怯むことなく、僕は続けて話した。



「僕は先輩達に対して、恋愛感情はもってない!2人にはとても親切にしてもらってるし、良い人達だから友達になりたいと思ってる!それでも近くにいちゃイケないの?」



はっきりと思ってることを言えてスッキリした僕は、彼等の反応を待っていたんだけど、一様に固まってるから、同じく固まってる河上君を引っ張ってトイレを後にした。






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あきゅろす。
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