鳳凰の宮学園
廊下にて 1
む、ム、難しい〜!
鳳凰の宮学園のレベルが全国的に高いのは解ってたつもりだったけど、理系がこんなにもハイレベルだなんて・・・。
どれぐらいハイレベルかって?
そりゃあもう、脳の中が分子式でグチャグチャになるぐらい。
ただでさえ理系は大の苦手なのに・・・。
悶々と悩んでいた3時限目の授業の終わりを報せるチャイムがやっと鳴り、僕は頭を冷やしにトイレに行こうと席を立ち上がった。
ドアを開けようと腕を伸ばしかけた時、河上君が僕の背中にへばりついてきた。
「りょ〜う、俺っちを置いてどこ行くんだよ?」
「トイレだよ。」
「じゃあ、俺も一緒に行くー。」
2人でトイレに向かって歩いて行くと、廊下にいた生徒達が一斉に僕達を見た。
うわっ。
昨日とは違って、何だか殺気めいてる視線が多い・・・って感じるのは僕の気のせいかな?
「あいつ?」
「二股かけてるんだって。」
「地味顔なのに遊び人らしいよ。」
・・・はぁ。
ヒソヒソ話してるんだろうけど、バッチリ聞こえるよ。
しばらく続くのかな?
憂鬱になっていると、河上君がみんなに聞こえるような大きな声で話し出した。
「りょ〜、今朝の掲示板の貼り紙面白かったよなぁ!」
僕はギョッとした。
か、河上君、何でその話しを?
「あーんなガセネタ書くなんて、新聞部もよっぽどヒマなんだろうな!まっ、笑わせてくれたけど。」
河上君の話しを、固唾を飲んで聞いていた生徒達は、その話しに納得したように各々喋りだした。
「やっぱりボクの言った通りじゃん。」
「おかしいと思ってたんだよね。」
「「「あんな地味な子と、御二人が付き合うなんてあり得ない!」」」
さっきまでの反応が嘘みたいに、みんな僕のことなんて忘れたみたいに見なくなった。
「河上君、凄いね!今のでみんな掲示板のことをガセネタって信じてくれたんだね。」
「エヘヘへ、そんな風にキラキラした瞳で見るんじゃねぇよ。照れるじゃん。」
「だって、河上君本当に凄いんだもの。」
「よせやい・・・///。」
照れてる河上君って可愛い!
なんだかヨシヨシしてあげたい。
「河上君、ありがとう。」
「礼なんて言うなよ。俺は領の事を知らないのに、あんな嘘を信じてる奴等に、領を傷つけさせたくないだけなんだ!」
顔を真っ赤にして喋る河上君に、それでも重ねてお礼を言う。
「うん。ありがとう。」
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