鳳凰の宮学園
管理人室 2
涙が止まったのは、それから暫く経った頃だった。
「柊木君、お茶のお代わり淹れたから飲んでて。僕はタオル取ってくるから。」
僕は頷いて温かいお茶を口に含んだ。
はぁ。
あったまる〜。
冷えきった心が元に戻ってくる感じがする。
それにしても僕って情けない。
男なんだから、一々泣いてちゃ駄目だ。
もっと強くならなきゃ。
ドアが開き、本庄さんが湯気が出ているタオルを手に持って戻ってきた。
「ホットタオルにしてきたよ。顔に充ててみて気持ちが良いから!」
早速充ててみると、本当に気持ち良くてホカホカしてきた。
「あったかい・・・あっ!」
しばらく浸していると、今度は急激にタオルが冷たくなってきた。
「うふふ。外気温が低いから、すぐに冷めちゃうね。」
僕の手からタオルを回収して畳んだ後で、本庄さんは学園の話をしてくれた。
「此処の学園は基本的にお金持ちの子が多いんだけど、創立者の精神はね学問を学びたい子を入学させて、あらゆる知識を生徒達に吸収して貰いたいって考えてた人なんだよ。」
「はい。パンフレットに書いてありました。それで僕、この学園に転入することに決めたんです!」
僕は寮のある学園を探していく内に、鳳凰の宮学園の素晴らしい基本方針に胸を打たれたんだ。
『博愛を持って自らの知恵と勇気で社会のひいては世界に貢献出来る人間に成長すべし』
僕に何が出来るのかまだ分からないけど、この学園で頑張ってみようと思ったんだ!
「うん。だけど世の中っていつの時代も差別や貧富の差ってあるだろう?特に富がある方は、お金で何でも出来ると勘違いしてる人が多いんだ。だから何かと学園に口を出してきたりするんだよ。」
お、驚いた。
そんな事あるんだ?
「うふふ。でもね鳳凰 朱雀君、あっ、生徒会長知ってるかな?彼が学園に来てからは、かなり変わったんだけどね。」
へぇー!!
あの迫力のある黒縁眼鏡の生徒会長!
「彼はね独特のカリスマ性があって、今まで理事に任せていた学園の運営を生徒会や生徒が組織を作って出来るようにしていったんだよ。あの時は本当にヒヤヒヤしたけど、理事や保護者、PTAを相手に説明をした彼は正に人の上に立つ者の風格があったよ。」
そ、そうなんだ!
生徒会長って凄い人なんだ。
なんか尊敬しちゃう。
それにしても・・・本庄さん楽しそう。
生徒会長と仲が良いのかな?
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