眠れぬ夜
海 2
「・・・みや、鷺ノ宮?」
不動が僕を呼んでいる。
「な、何?」
「そんなに良かったか?」
え?
何のことだろう?
僕がキョトンと不動を見ると。
「キス・・・だよ。意識がなくなるくらい良かったのか?」
顔中に熱が集まるのがわかる。
不動からのメールを思い出していて、意識が飛んでいたんだけど・・・。
キスじゃないとは言えない。
でも・・・///。
脳内で色々考えていたら、不動がさらに腰を密着させてきて、唇を重ねてきた。
「あっ、ん〜〜〜。んんん〜。」
あ〜〜、もう!
不動のバカ。
ディープキスなんてされたら、身体が・・・反応してしまうじゃないか・・・///。
そんな僕の状況を知ってか知らずか、不動は自分の腰をグイグイと押し付けてくる。
そして僕の耳元で、熱い息を吐きながら囁いてきた。
「フフッ。やらしー顔。下の方も濡れて来たんじゃないのか?」
「・・・い、言う、な。バカ!」
僕が照れ隠しに怒ると、不動は楽しそうな笑い声をあげていた。
「ハハハハ。そんな顔で怒っても、迫力ねぇぞ。」
ドキン。
こんな風に笑うんだ。
・・・ドキン。
どうしよう?
なんでこんなに胸がドキドキするんだろう?
不動の笑顔を見ただけなのに・・・///。
こんなにも嬉しくて、幸せな気持ちになるなんて。
僕は本当に・・・不動が好きなんだって実感してしまう。
不動に見とれていたら、不意に不動が僕から離れた。
「鷺ノ宮、着替えに行こうぜ。」
「う、うん。」
不動と共に海岸線を歩いて行くと、すぐに海水浴場が見えた。
なんだか・・・不思議だ。
人があまりいない。
てっきり不動が行く海だから、もっとスポット的な、若者が多く来る場所だと思っていたんだ。
思えば、それなら2時間近くも、バイクに揺らされたりしないけれど。
僕が海の方を見ていたら、不動が僕の思っていることが分かったらしく、説明してくれた。
「人が少なくって驚いただろ。この場所は、結構穴場なんだ。都心から離れてるってこともあるけど、施設が何もないから家族連れも若い奴等も来ねぇんだ。だからゆっくり過ごすには、もってこいの場所だ。」
「へぇ、そうなんだ。でも良く知ってたね、この場所。」
不動は僕を見て、柔らかく笑った。
「ばあちゃんの実家がこの近くなんだ。」
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