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眠れぬ夜
海 1


風を切り裂く音。



初めてバイクに乗った僕は、不動のテクニックのありすぎる運転、まるでサーキット場かと思わせるような走りに、心臓がバクバクして、意識が遠退きそうだった。



速すぎるスピードが、肌に感じる恐怖心につながって、車やトラックなんかを難なく追い越す不動の腰にギュッと抱きついていた。



ただ・・・不動の背中が大きくて男らしくて、僕はずっと身体を寄せていたい気分になっていたけれど。



目的地に着くと、不動はバイクを駐車場に停め、ヘルメットを脱いだ。



「鷺ノ宮、着いたぞ。降りていいぜ。」



「・・・うん。」



そうしたいけど。
膝がガクガクして動けない。



僕がなかなか不動から離れようとしないので、不動は僕を見た。



「どうした?」



僕は恥ずかしくて、不動の背中にピッタリ貼り付いている。



「鷺ノ宮?」



不動は僕の名前を呼んでから、僕が被っていたヘルメットを取り外した。

そして顎を掴み、僕の顔を見る。



「・・・鷺ノ宮、お前目潤んでる。俺の運転、怖かったか?」



「・・・///。」



あ〜、恥ずかしい!

高校生の男がバイクに乗って泣きそうになるなんて。



「鷺ノ宮、ワリィな。俺の運転粗っぽいから、今まで乗った奴皆怖がってたんだ。だから今日は気ぃ使ったつもりなんだが・・・駄目だったな。」



僕は内心驚いていた。

あれで気を使ったつもりだったのか・・・。

次からは絶対に乗らない!



「鷺ノ宮、ほら、手出せ。」



不動は僕の手をとってから、バイクから降ろしてくれた。

降りた瞬間ぐらついて、僕は不動に抱きついた。



「フフッ、お前、めっちゃ可愛いな。」



「なっ!?」



「睨むなよ。事実なんだから。鷺ノ宮こっち向けよ。」



僕が不動を見ると、不動は僕にキスしてきた。



「うっ、んん・・・。」



こんな所でキスしてくるなんて!

人に見られたら、どうするんだ?



そして昨日の事を思い出す。

真夜中に、初めて不動からのメールが届いた事を。



就寝していたけれど、着信の名前を見た瞬間、直ぐ様起き上がり、しばらく感動していた。



「緊張するな。なんて書いてきたんだろう?」



開けてみると、内容は簡単だった。



− 明日海に行く −



たった一言だけ。

急に・・・しかも僕の予定も聞かずに。



「強引だな。」



でも、そういうところも好きだけど・・・///。






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あきゅろす。
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