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グッナイベイビーのつづき


嫌な予感はしてたんだ。いくら気のせいだと思い込もうとしても、心の底から渦巻く何かはおさまらなかった。急にあいつの声が聞きたくなって電話してみりゃアレだ。いつも通り俺に生意気な態度をとりやがる。俺の補佐官のくせして一度も俺を敬った態度なんてとりやしねェんだ、あいつはもとから。ほんと気に食わねェ。



「……馬鹿野郎、」



気に食わねェよ、俺の言う事なんか一つも聞かねェところが。



「俺が来るまで寝るなっつっただろ」



必死になって捜し回り、やっと見つけたあいつは血塗れだった。その周りにも大量の血が飛び散っている。なんでこんなになるまで一人で戦った。なんで俺を呼ばなかった。なあ、お前にかかればこんな任務ちょろいんじゃなかったのか。伊達に俺の補佐やってきたわけじゃねェんだろ、なあ。むかつくんだよ、お前。でたらめなことばっか吐きやがって。それにこんな、



「幸せそうな寝顔しやがって」



そっとあいつの頬を触ると、そこにはもう体温なんてなく、既に冷たかった。そして冷たいであろうこいつの体を温めるように抱きしめた。くだらねェことに、体温さえ戻ればこいつは起きるのかなんて考えた。そんなこと、ありえねーっつーのに。



『あたし、真選組が大好きです』



安心しろ、あいつらもお前のこと家族みてェに大切にしてるだろうよ。



『副長、大好きですよ』



泣きながら言うんじゃねェよ。それに言うなら面と向かって言いやがれ。それがお前だろうが。



『副長、愛してます』



俺だってお前のこと愛してんだよ。なに返事聞かず寝てんだよ。俺にだって面と向かって言わせろや。



「愛してる、弥生」



だから起きろよ、弥生。起きていつもみたいに笑えよ。



「愛してるっつってんだ馬鹿野郎…っ」



俺は冷たくなったこいつの唇に何度も何度もキスをした。


(20090923)


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