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槻木くんは猫離れができない
二ノ四


彼女は人の考えていることを一字一句読み取れるわけではないらしい。
何かしらの強い感情を抱いている人の近くに行くと、脳内にそれが流れこんでくるそうだ。

オカルトチックな話しだが、たった今心を読まれたばかりの僕は信じざるをえない。

「桜沢くんは、邪念がないから近くにいると楽だなあ」

「へ、へぇ…」

そうなのか、僕はわりとよこしまな事を考えていると思ってたんだけどな。

「女子トイレなんか地獄よ、色んな感情でドロドロして。だからわたし、こっそり職員用のトイレ使ってるの」

女子トイレの前。
十中八九槻木君の名前が聴こえてくるあの、全男子未踏の未知の空間。
あそこはそんなにドロドロしているのか。

「で、なにか戦略はあるの?」

雨宮さんは話を戻した。

「せ、せんりゃく?」

「槻木清羅に近づきたいんでしょう?理由まではわからないけど」

「うっ…」

むしろそこは理由までわかってほしかった。
でなきゃ僕が槻木君に恋しているみたいではないか。

「まあ、八方ふさがりでしょうけど」

雨宮さんはまたくすくす笑った。



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あきゅろす。
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