槻木くんは猫離れができない
ニノ三
「槻木清羅かぁ」
雨宮さんはにやっとした。
「へ…?」
「桜沢くん、3日前からずっと彼の事ばかり考えてるでしょ」
動機が激しくなる。
この人…何者だ。
雨宮さんは笑いながら僕の顔を覗き込む。
黒目がちの瞳が、ゆらっと揺れた。
「この人何者だって思った?」
「ひっ…」
本物だ。
本物のエスパーさんだ。
僕は震える唇をきゅっと結んだ。
「あっ!怖がらせちゃった?ごめんなさい。別にエスパーとかじゃないから、安心して」
いや、絶対エスパーだろ、この人。
「ただちょっと、人の強い感情とかを傍受しちゃう体質なの」
雨宮さんは小声で言いながらぱちっと片目をつぶった。
恐怖におののきながらも、彼女のウィンクを正直可愛いと思ってしまった自分がちょっと情けない。
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