帰港地 6
暫く泣いた後に、
改めてお社に頭を下げて、感謝の言葉を口にした…。
「今まで、色々とお世話になりました。…本当に有難うございました。」
この言葉は、神社に対してと、
…実は、密かに雲雀さんに向けたモノ。
直接、彼に…
こんな事を言ったら、きっと私は大泣きしまうから、言えない…。
滅多に掛かってくる事の無かった、
雲雀さんが、私に買ってくれた携帯電話も…
ずっと電源を切ったまま鞄の中だ。
だって、もしも…もしも…彼が電話をして来たら、
きっと泣いて話にならないから。
そうして、深々と頭を下げて…踵を返す。
さて、これから何処に行こう?
こんな変な時間じゃホテルにも行けないし、
また何処かの24時間営業のお店とか…
そうだ、カラオケなんてのも良いかもしれない!
もう、何年も行ってないけど、
好きな歌でも歌えば、
少しは気分が晴れるような…気がするしね。
階段の前まで来ると、神社からの夜景が目に入った。
…キレイだな…。
ココから見る風景は、私のお気に入りだった。
せっかくだから…
もう少し眼に焼き付けて置こうと、立ち止り眺める事にした。
時折、夜風がサワッサワッと、優しく吹いて…
私の波立った心を静かに癒してくれた…
優しい月光に照らされた町並みの風景は、
どこか優しく見える。
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