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うさぎの初恋
◆07.自己紹介。

◇◆【長耳視点】◆◇

 私のさっきの言葉は嘘………だったはずでしたが、当たらずも遠からず…になってしまったようで…。

 朱里は凍りついている。

 が、その凍り付いている表情の裏には、喜びが溢れている気がする。←要するにしまりがない。

 でも、それは仕方がないのでしょう。何と言っても、初恋の君がここにいるのですから…。

◇◆◇◆◇






 少し時は遡る。

 食堂の混乱が収まり、普通科・進学科の生徒の話し合い(ウサギ談話)も収まり…昼食の時間は過ぎ去っているものの、俺達はこれから食事をすることになる。

 ちなみに、他の生徒達はこちらを気にしつつも、5時限の授業があるので、各々教室に戻って行った。



「五時間目始まっているね………まぁ、ぼくはいいけど!」

「俺は良くない!これも、一重にうさぎのせいで…」

 俺の隣には長耳、そして向かいには小柄な普通科の生徒と苦労性が顔に出て疲れ切っている進学科の生徒。

 そして、上記↑の会話はもちろん、この2人の会話な訳だが、特進科の生徒が『うさぎ』と口にした時、なぜかドキリッと心臓の音が鳴った。



「自己紹介をはじめようか?とりあえず、朱里、立場上君から」

「2−S、兎三山朱里(とみやま しゅり)、生徒会長だ」

 俺のこの自己紹介になぜか感心する声が聞こえた。普通科の生徒からだ。

「へぇ〜、生徒会長なんだ。すごいね〜」

「ばっ!馬鹿うさぎ!!生徒会長は入学式と新歓行事の時、見ているだろ!!」

「………(考え中)………見てない。というか、入学式前日『殿』の具合が悪くなったから、その疲れで式の間中爆睡していたし、新歓の時は『ハナ』さん(ウサギ)が出産した子供達が気になって、サボったから」

 あっけらかんと答える普通科の生徒に頭を抱えたくなるが、進学科の生徒がその後、説教をぶちかましているので、俺からは何もコメントしないことにする。

 俺の存在を知らないことに、ちょっと…いや、思いっきり落ち込みそうになるが…。

「あっはは、面白いねこの子。では、改めて、私はS−2、立川長耳(たつかわ ながみ)、生徒会副会長を務めています。よろしくね」

 長耳の自己紹介には、さすがに2人とも「よろしくお願いします」と、大人しく挨拶する。

 普通科の生徒は進学科の生徒の説教に若干涙目になっているが、そこは見ないことにしよう。



 さて、次は…しっかり者のイメージが強い、進学科の生徒が声を上げる。

「ご迷惑かけてすみません。俺は1−Aの草間雄介(くさま ゆうすけ)です。この度の件、俺からも謝罪します。ほら、次うさぎ!!」

 草間の言葉に隣にいる普通科の生徒も頭を下げつつ、自己紹介。

「…よく、わからないけど、ごめんなさい?えっと、1−Dの猫屋うさぎ(ねこや うさぎ)です。………でも、このウサギ玩具は渡しません!!」

 ………こいつ、まだ状況を把握していないのか…。

 一瞬、呆れるものの………て、『うさぎ』?


[*の後退]の前進*]

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あきゅろす。
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