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金色の
ようやく落ち着いてきた。まだ立てそうにはないけれど。
少し冷静になってきた頭で考えたら、私はあの男の家がどこにあるのかを知らないことに気付いた。
「どうしよう…」
あいつに直接聞くのは怖いし、私が家を知らないことはあっちだって知ってるはずなのにあぁ言ったってことは、それさえ試練の一つに含まれているのかもしれない。
誰かに聞けということか……でも、そんなことしたら絶対誤解される。そんな噂広がってほしくない………どうしよう…
「大丈夫?」
その時、ふいに声が聞こえた。
視線をゆっくりと上げると、そこには金髪の、とてもかっこいい顔の、だけど少し眠そうな目をした男の子が立っていた。
「え、あ、あのっ…」
私は慌てた。もしかしたら見られていたのかもしれない。そうでなかったとしても、こんな所に座っているのはあまりに可笑しいから、私はすぐ立ち上がろとした。
「っ!」
だけど下半身が思ったより痛くて、バランスを崩す。
倒れると覚悟した。けれど衝撃は訪れず、目の前の金髪の人が支えてくれたのだと気付いた。
「無理、しなくていいよ」
その人は私を優しく座らせた。
その人も一緒になって、私の横に座った。
「…えっと……」
「ごめん」
「え?」
「…忍足に、昨日のこと言ったの、俺、なんだ…」
「…え」
その人は、本当に申し訳なさそうに、話し出した。
「昨日の放課後、俺寝過ぎちゃって、辺りは暗いし、もう帰ろうって思った。その時、君と跡部を見たんだ。…手、繋いで歩いてたでしょ。君のことは知ってた。忍足のお気に入りって有名だから…」
――
「あ、忍足〜。彼女、跡部に取られちゃったのー?」
「……は?」
「手ー繋いでさっき帰ってったC〜」
「……」
「忍足ぃ?」
「あぁ。教えてくれて、おおきに」
―――
「それが………こんなことになるなんて……ほんと、ごめん…」
「…う、ううん!…君のせいじゃ、ないよ」
涙が出た。
だって、彼が泣いていたから。
私達はお互い何も言えず、お互いの啜り泣きがまた涙を呼び寄せて、いつしか二人、声を上げて泣いていた。
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